一級建築士事務所アトリエマナ(代表:河内真菜):「住宅地で別荘暮らし」をテーマに、身体に関する建築の環境造りを手がけています。

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高台という立地は、人に躍動感を与える。前のめりになるほどの急勾配を登り切った先に獲得する広がりあるそのロケーションと開放性は、住宅街というアイレベルの日常から、鳥の目線で街と対峙する飛躍的な開放感を呼び覚まし、非日常の場の力を持つ。クライアントは、この立地に惚れ込み、土地を購入した。 わたしはここで、その非日常の躍動感を損なう事無く 、建築が置かれる事で景色との関係を再構築することを考 えた。南側の全面道路との高体差が4 mある。このことにより、ある程度、周囲の視線を切る事が可能となるが、 敷地に立つと、開放性と同時に、見る見られるという関係から逃れる事はできないのが住宅街であると感じた。そのことから、眺望を取り込む舞台のような伸びやかさと同時に、居心地の良い守るべき居住環境を、複雑でないシンプルな形態で実現したかった。50坪程度の整形敷地に、まず、景観に平行するようにシンプルで開放性のあるボリュームを配置する。そこに、直進方向の動線空間をT字に入れ込むことで、空間に奥行きを持たせ、心地よい居場所と同時に、多角的に風景をつかみ取る動きある空間を造り出した。このT型ボリュームはプライバシーを守る緩衝帯としても機能している。庇の出は、周囲の目線を切るよう決定し、同時に風景に対する抜けを強調するメガホンのような効果がもたらされる。内部空間は、食の場である調理台を中心に、様々な部屋が展開する。客間、食事の場、居間と、各々室に応じた天井高さ、陰影、設えとすることで、ワンルームでありながら、違った視点で風景と対峙するそれぞれの居場所となる。見下ろされる北側は、塀を切りかいた中庭を設け、水回りを配置した。2は、寝室や子供部屋などのプライベートスペースからなる。T字のボリューム上部は物見台となっており、清々しい景観を独り占め出来るシカケとした。ガラスの間仕切り壁でつくられる寝室は、内部から街の眺望を一望でき、物見台テラスと一体利用出来、セカンドリビングのような機能も併せ持つ。敷地に新たな丘を構築することで、どの部屋からも、風景を楽しむ事が出来、室に応じた眺望に対する関係性を替える事で、多角的に風景を望む開放的で居心地の良い高台の家が実現した。

閑静な住宅街にある家族のための住宅です。高気密高断熱住宅をご要望であり、しかしながら閉鎖的にならずに、日本の風土と両立するような住環境をご要望でした。高基礎にし、そこにエアサイクルシステムを取り入れることで、安定した温度の空気を、床下にダクトで送り込み、建物全体があたたまる(冷え切らない)環境を実現しています。
ハード面で環境をサポートすることで、シンプルな形状になりがちな高性能住宅ですが、フレキシブルで多用的なプラン構築が可能となりました。
プランはその用途に応じて気積が異なるボリュームを雁行して配置することで、多用な空間が連続していくシークエンス空間となっています。家族の暮らしに環境面でも豊かな多様性をもらたす空間を実現しています。

計画地:神奈川県川崎市
設計:アトリエマナ
構造:馬場貴志構造設計事務所
施工:(株)中野工務店
写真:鳥村 鋼一写真事務所
用途:住宅
敷地面積:171.90m²
建築面積:87.86m²
延床面積:120.49m²
構造:木造2階建

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