閑静な住宅街に立つ２世帯住宅への建替え計画です。敷地には、樹齢７０年を越える、ソメイヨシノの大桜があり、ご家族は、春や、新緑、落葉、それぞれの四季の移ろいを楽しまれていました。
計画は、この既存桜を残しながら、思い出あるこの土地に、２世帯が距離感を保ちながらどのように共に暮らすかがメインとなりました。
２世帯住宅と一口で言っても、様々な家族形態がある現代は、生活を細かくヒアリングすると、それぞれのライフスタイルのあり方が異なる形態を産みます。
親世帯は、夫婦お二人暮らし。趣味の旅行をご夫婦で年に数回、長期間楽しみ、そう広くないホテルのダブルルームのようなミニマムなスペースで、お互いが寄り添いかつ、生活のテリトリーが守られている様なライフスタイルを希望されていました。
また子世帯は、夫婦二人＋子供二人という家族構成です。働き盛り、子育て真最中で、帰宅時間や子供の生活時間、環境がまったく異なる２世帯のスタイルでした。
そこで、ボリュームを棟として分け、親世帯棟と子世帯棟とします。その棟屋を、カースペース等の屋外空間を設け配置し、２階に２世帯の共有空間を配置するというゾーニングとしました。
共有スペースには、桜の木を楽しんだり、茶事を行える和室と、子供や家族が使えるワークスペースを配置しました。
桜を囲いながら、それぞれの家族が気配を感じながら共に暮らす２世帯住宅が実現しました。

計画地：東京都大田区
設計：アトリエマナ
構造：馬場真志構造設計事務所
施工：株式会社キクシマ
写真：森　日出夫
用途：２世帯住宅
敷地面積：296.49㎡
建築面積：147.12㎡
延床面積：240.57㎡
構造：木造2階建